舞台『いまを生きる』について


2021年1月16日〜2月21日の約1ヶ月間、東京・大阪・愛知で上演された IMPACTors 影山拓也くん、佐藤新くん、基俊介くんにとって初めての外部舞台『いまを生きる』

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権利が厳しく配信やDVD化することが難しかった(プロデューサー 早野由夏さんのツイートより)この作品を、記憶が薄れてしまう前に、ストーリーや感じたことを記録に残しておこうと思いこのブログを書き記しています。

 

当記事は各シーン毎に以下の内容で構成されています。

ストーリー展開を説明した文章

・演者の動き、印象的だったこと、考察

★9割方ミークスの感想

舞台『いまを生きる』のストーリーのみを知りたい方は【ストーリー展開を説明した文章】のみを追っていただければ全体像が把握できるかと思います。

 

また、登場人物やシーン名、台詞、詩などは以下の資料を参考に記載しておりますが、それ以外の内容につきましては私の記憶と記録がメインになります。完璧に記憶している訳では無いので誤っている点がございましたらコメントやDM等でご連絡いただけると、こそっと修正させていただきますので、よろしくお願いいたします…!

 

【参考資料】

・舞台「いまを生きる」オフィシャルサイト

 舞台「いまを生きる」 <オフィシャルHP>

・公式パンフレット「DEAD POETS SOCIETY」

 舞台「いまを生きる」オフィシャルグッズ |フジテレビe!ショップ

YouTube 「Dead-Poets-Society」


Dead-Poets-Society 

・KEN ON Message「瀬戸利樹日記」

Twitter 舞台「いまを生きる」bot

 舞台「いまを生きる」bot (@imaiki_bot) | Twitter

・自身の観劇メモ

 舞台「いまを生きる」大阪公演

 舞台「いまを生きる」愛知公演

 

いつもの如く前置きが長くなりましたが、新型コロナウイルスの影響により会場に足を運ぶことが出来なかった方、幕は降りてしまったけれど ふと彼らが生きる世界に戻りたくなった方など様々な方に舞台『いまを生きる』の世界観が伝わることを願っています。

 

 

【目次】

 

 

 【CAST】 

ジョン・キーティング/佐藤隆太

トッド・アンダーソン(トッド)/佐藤新

ニール・ペリー(ニール) /瀬戸利樹

ノックス・オーバーストリート(ノックス/ノクシャス)/影山拓也 

ティーヴン・ミークス(ミークス/ミクシー) /基俊介

チャールズ・ダルトン(チャーリー→ヌワンダ) /三宅亮輔

リチャード・キャメロン(キャメロン)/市川理矩

クリス/小向なる

ペリー氏(ニール父)/飯田基祐

ポール・ノーラン/佐戸井けん太

Cast&Staff | 舞台「いまを生きる」 <オフィシャルHP> より

 

 

【STORY】

 

あらすじ

1959年、アメリカ・バーモント州にある全寮制の男子高校ウェルトン・アカデミーの新学期に、英語教師ジョン・キーティングが赴任してくる。厳格なノーラン校長の下、規則に縛られていた学生たちに、同校のOBであるキーティングは「教科書など破り捨てろ!」と言い放ち、詩のもつ素晴らしさを通じて、人生の素晴らしさを教えようとする。キーティングの風変わりな授業に最初は戸惑う生徒たちだったが、次第に刺激され、それぞれの個性や、規則や親に縛られない、自由な考え方に目覚めていくのであった。

 

Scenes01.ウェルトンの礼拝堂/講堂

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彼らが通うウェルトン・アカデミー始業式のシーン。日本で言うところの高校2年生になった彼らが、誰一人列を乱すことなく綺麗に並び入場し校歌を斉唱する。『伝統・名誉・規律・美徳』を四本の柱とする学校で背筋を真っすぐに伸ばし校長の話を聞く生徒5人と新入生のトッド・アンダーソン。全校生徒の前で偉大な兄の功績と共に自身の名前が紹介されるも、本人は自信なさげな返事をする。 

・校長より順に四本の柱について問われる中、指名されても内容を答えられないミークス。ジャケットの裾が気になったり、パンツについているゴミが気になったりと終始落ち着きがない様子で式典に参加している。

・全校生徒の前で「クラスでトップの成績を保持している」とニールが紹介され、クラス全員が尊敬の眼差しで彼を見つめている。普段からニールがクラスメイトから慕われていることがうかがえる。

・偉大な兄の紹介とは裏腹に、オドオドとした態度のトッド。クラスメイトになる5人もどこか不思議そうな顔をして彼を見ている。

★校長の話を聞くため、終始客席に背中を向けているシーンなので毎公演ミークスの髪形をチェックしていたこのシーン。同じように見えてちょっとずつ違うその変化を楽しんでいました。寝ぐせのままなのか深めのウェーブが入っている日もあれば、しっかりストレートの日もあってその日によって微妙に違うミークスの髪型。個人的には2/12(金)大阪公演の後頭部をワックスで固めず飛び上がる度にフワッと揺れていたヘアセットがミークスのあどけなさを助長していて好きだったな~!

 

Scenes02.寮のニールとトッドの部屋

ニール・ペリーの部屋に集まるノックス・オーバーストリート、スティーヴン・ミークス、チャールズ・ダルトン(チャーリー/ヌワンダ)の3人。ウェルトンで生活する高校生の彼らにとって四本の柱とは『洗脳・性欲・歪・地獄』であり、学校生活に不満はあるもののそれを受け入れながら毎日を過ごしている。ニールとルームメイトになったトッドと初めて会話するのもこのシーン。ニールの父ペリー氏が直接校長に息子の学校生活について相談しに訪れる様子や、部屋に挨拶しに来た際に皆が恐縮する姿、「大学を卒業するまでは私(ペリー氏)が決める」との弾圧的な言葉に反論できない様子からニールにとっては父親が絶対的存在である。

・トッドが学校に来た日、勉強会を開催しようと話をするニール・ノックス・ミークス・キャメロン。

ニール「キャメロンにも誘われててさ、」

チャーリー「ヤツが得意なのはゴマすりだけどな~」

のやり取りから、キャメロンはニールとは交流があるが他の生徒とはそこまで交流が無いことがうかがえる。

・トッドとニールがルームメイトだと分かる件で、クラスメイトたちがトッドへ順に自己紹介するもチャーリーに遮られてしまい最後まで自分の名前が言えなかったミークス。クラスメイトの中で彼の存在感が薄い訳ではなさそうだが、自分の意見を強く主張するようなタイプではなく流れのまま受け入れる、良く言えば柔軟性が高いタイプにみえる。

・ペリー氏による「2年生の時が最高だった」「(ニールが)学校年間の活動に参加するのは来年からにしてもらった、課外活動が多すぎる」という言葉から、この一年が大学受験にとって重要な年であることが分かる。

★みんな大好き(?)もとみや(基くん三宅くん)タイム Part1が始まりました、ありがとうございます。ニールの父親が部屋に来たタイミングで二人は上手に履けるのですが、この待機時間二人はずっとコショコショ話をしています。三宅くんがひたすら基くんに話しかけるも菩薩顔をキープし一言も返さない日もあれば、基くんから話しかけ笑いあってる日もあり、毎公演違う表情を見せてくれました。ずっと見ていても飽きないってこういうことね、と思わずコンビ押し芸人に片足突っ込みかけましたねぇ~。危ない危ない、、、

 

Scenes03.殿堂室

チャーリー:詩人:ソポクレス・アイスキュロスエウリピデスアリストパネス

ノックス:?:ルクトル・ルクトリス・ルクトリ・ルクトレム

リチャード・キャメロン:円周率:3.14159265358979323846264338

ミークス:三平方の定理a²+b²=c²

ニール:希土類元素レアアース):ランタン・セリウム・プラセオジムネオジムプロメチウム

トッド:光速度:c=299792458m/s=8.9875517873681764×1016J

全員がロボットのように無駄な動き一つせず、何かしらの公式や歴史上の人物名をエンドレスに述べながら縦横無尽に舞台上を歩いている。自由に見えるようで実は決まった動きをしており、最終的には横一列に並び声を揃え決まったフレーズを唱え続ける姿は、規律正しいウェルトン・アカデミーが生徒に求める“あるべき姿”を連想させる。

教科書を小脇に抱えたミークスが左足一歩下げスマートに左向け左する動きがたまらなく好きで(何の癖?)、見る度「ヒッ!」となっていました。その動きの何がそんなにハマったのか自分でも分からないけれど、恐らくミークスというよりも基くんの無駄のないその動きが見ていて気持ち良かったのだと思う、、、

この場面、何度聞いてもノックスが何の公式を述べているのかが分からなかったのでもしわかる方がいらっしゃったら教えてください!

 

Scenes04.キーティングの教室

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ジョン・キーティングと生徒たちが初めて顔を合わせるシーン。アメリカの詩人ウォルト・ホイットマンの詩を引用し自分の事を「キーティング先生もしくは、『おお、キャプテン、わがキャプテン』と呼ぶように」と紹介する。早速「おお、キャプテン、わがキャプテン」と呼ぶミークスにロバート・へリックの詩を読ませるキーティング。『乙女よ、時を無駄にするなかれ バラの蕾を摘むのは今 時は飛ぶように過ぎてゆく 今日咲き誇るこの薔薇も 明日には朽ちて消えていく』 「我々はいつかウジ虫の餌になってしまう、我々は限られた回数しか春や夏を感じる事ができない、我々はいつか死んでしまう。いまを生きるんだ諸君、自分の人生を素晴らしいものにしろ。」と、ラテン語で『Carpe diem(カーペディエム)=今を生きろ』について説くキーティング。その言葉にニールは興奮し、キャメロンは気味悪がっていた。

・初めてキーティングに会う生徒たちの表情に緊張している様子がうかがえた。今までこの学校に赴任してくる先生はきっとルールや規則から逸れる事を許さず、マニュアル通りの授業をする厳格な人が多かったのであろう。キーティングという初めて接するタイプの先生にミークスは興味津々で、ノックス・チャーリーは新しい感覚にワクワクしているように見えた。

・キーティングが「その前は女子高で教えていた」との言葉に舞い上がる生徒たちの姿は、我々も知っているただの高校生で生きている時代は違えど彼らのキャラクターに親近感を覚えた瞬間の一つだった。

・過去の卒業生の声を聞こうとフレームをのぞき込む場面、ノックス・ミークス・チャーリーの3人は顔ごとフレームをのぞき込んでいるのに対し、ニール・トッド・キャメロンはフレームに耳を傾けるように聞いている。情報をまず視覚から得るか聴覚から得るかの違いなのか、前者の好奇心が旺盛で後者は慎重にいくタイプなのか。各キャラクターの個性が出ているシーンだった。

このシーン設営中に流れているニールとチャーリーがよく二人で踊っていたロックンロールな音楽が好きなのですが、あの曲はオリジナル?それとも既存曲?気になる・・・

卒業生の家のディナーでクリスに出会い一目ぼれするノックスだったが、彼女には既にチェットという婚約寸前の恋人がいた。名門校でフットボールチームのクォーターバックをするチェットに勝ち目が無いと落ち込むノックスだったが、走り出したクリスへの思いは止まらない様子。

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ある日の授業でJ・エヴァンス・プリチャード博士による序文「詩の理解」について取り上げる。詩をグラフで評価しようとするその評価方法をキーティングは「クソったれだ!」と言い放ち、詩は点数で評価するものではない、と生徒たちにそのページを破り取るように促す。

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『おお、この身とこの命よ! いくたびも思い悩むこの疑問 不実な者が長者の列をなし 都会は愚者で溢れんばかり どこに美点があるというのか? おお、この身とこの命よ! 答えは一つ 君がそこにあるということ 壮麗な芝居が続けられ 君もそこに一遍の詩を寄せることができるということ 壮麗な芝居が続けられ 君もそこに一遍の詩を寄せることができるということ』ウォルト・ホイットマンの詩を引用し、詩やロマンス、愛や美は我々の生きる糧だと生徒たちに教える。

・最初の1ページ目を勢いよく破るチャーリー・ノックス、丁寧に破るニール・ミークス、恐る恐る破るトッド・キャメロンとこのシーンにもそれぞれの個性が感じられた。一度破ってしまうと全員が勢いよく破り始め丸めた教科書を投げ合うようになるのだが、どの回もチャーリーが先陣を切っておりニール向かって投げるところから始まっていた。ミークスは投げられることはあっても人に向かって投げることはほとんどなく、一人で遊んでいたり別のいたずらを思いついたりと争いを好まない平和主義な一面が垣間見えた。

・キーティングが『ホイ・ポロイ』の意味を尋ね、キャメロンが「“愚かな民衆たち”という意味だと思います。」と回答した事に対し、「そもそも“民衆”とは、集まった人々を表す複数の名詞だ。そこに複数を意味する“たち”なんで接尾語をつけてしまったら、意味が重複してしまう。つまりキャメロン。君自身が愚かな民衆、ホイ・ポロイの一因です!と公言しているようなものだな。」とやり取りする場面、文字にすると何てことない指摘なのだが“ハッ”とした表情を見せるキャメロンが印象的だった。授業開始前と比べ、その後の解説を前のめりで聞く姿にこの瞬間、キャメロンはキーティングに惹かれるものを感じたのだと思う。

キーティングが板書するグラフを各々ノートに書き写しているのですが、その書き方にも個性が出ていて面白かったので共有します。当たり前の事かもしれないけれど、そんな細かな仕草にまで其々のキャラクターが出ていて生徒たちの役作りに関心しました。個人的にはノックスがノート一面に筆圧強めに書いていたのが好きでした。(笑)

★丸めた教科書を投げ合うシーン毎回フリー演技で違った事をしている生徒たちの表情が生き生きとしていて、いけない事だと分かっているけど皆でやっている、という危機感もあり見ていて楽しいシーン!公演終盤にかけて一人遊びが増えるミークスのいたずらっ子な表情や行動もまた可愛らしくて何度も座席で地団駄踏みそうになりましたね。(ヤメなさい)

 

Scenes05.食堂

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校長がキーティングへ「先ほどの授業は誤っている。」と指摘する裏で、キーティングの卒業アルバムを見つけ『死せる詩人の会』の存在を知る生徒たち。早速キーティングにその会について尋ねると、小さなグループで洞窟に集まり、巨匠たちの詩を読み上げ、生きる神髄を味わう会であることが分かる。

・トッド、ノックス、チャーリー、キャメロンの4人が机を囲んで座っており、チャーリーがトッドで遊び(顔を触るなど)それをノックスが止める、という図をよく見かけたがトッドは断ることもできないといった様子で肩をすぼめてジッとしていたことから、まだ皆に心を開いていない様子がうかがえる。

4人で机を囲んでいるシーンではキャメロンがひたすらトッドに絡もうと挑むのだが、キャメロンというよりも三宅くんが新くんを構いたいだけでは?と思えてくるしつこさなので思わず笑いそうになった。時折ムッとした表情でチャーリーを見るトッドのカワイイお顔も、恐らくチャーリーを煽るだけで何の効果もなさそうだったな~(笑)

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会の名前にある「死せる詩人」とは一生涯の見習いを経て正会員になれる(正会員になるには死ななければならない)という意味が込められている。その話を聞き、早速「今夜始めよう!」と言うニールにクラスメイト全員が賛同し、『死せる詩人の会』が再開される。

・図書館にキーティングの卒業アルバムを探しに行くニールとミークス。やはりこの二人は好奇心旺盛でキーティングの新しい考え方にも関心が高く、キーティング自身に興味を持っている。死せる詩人の会の再開もニールから声を上げ、チャーリーが真っ先に乗ってきた。ミークスは「どんなことも一度は経験してみる価値があるからね!」、キャメロンは「慎重にやるなら、僕も参加するよ」、ノックスはクリスをものにする助けになるならと順に賛同する形になっていたが、普段からクラスメイトに慕われているニールの発案だからこそ危ない橋を渡ることになるかもしれない、この会に皆が賛同したのだろう。

キーティングの話を聞く時ミークスは上手側で体育座りをしているのですが、その時の太腿が最高すぎてだな、、、ミークいや基くんの張りのある太腿めちゃくちゃ良くないですか?え、話逸れすぎですか?もっと言うとパンツの裾から見えるふくらはぎも良か、、、ヤメときますね。

 

Scenes06.洞窟

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例にならいヘンリー・デヴィッド・ソローの詩から会が始まる。「私は思慮深く生きるために森を目指した。深く生き、生きる真髄を心ゆくまで味わいたかったのです!生きる為に必要のないものを全て捨て去り、我が身が息絶えるそのときに、わが人生に悔いなしというために。」ノックスは愛に関する詩を、ニールは生き方に関する詩を、自分自身の感情と重ねながら読んでいく。

・チャーリーが「クリスの写真を見つけた!」と裸の女性にマジックで「Chris」と書いたポスターを持ってくる。クリスを馬鹿にされた、とチャーリーに対し本気で怒るノックスのそばで、落ちているポスターを誰にも気付かれないように拾いコッソリとポケットにしまうミークス。

★ミークスの写真を拾う件、日に日に大胆になり台詞量も増え声も大きくなっていきませんでした?!拾った時の嬉しそうな顔で言う「やったぁ~」永遠に聞けるぐらい可愛い。語尾に♪付いてた。♪見えた。でもミークスそんなの持ち帰ってどうするの、貴方のことだしルームメイトもいるだろうから壁に飾ったりはしないでしょうけどどこに仕舞っておくの?!と勝手な心配をしていると気付いたら暗転していた。(集中して)まあでも、このポケットにしまった写真は毎回Scenes08中に下手待機中の基くんが回収するので、最終的にはミークスではなく基くんの手に渡っているんですけどね、、、

 

Scenes07.キーティングの教室

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机の上に乗り、辺りを見渡しながら、物事を違う角度から見ることを教えるキーティング。その教えの通り順番に机の上に乗り、キーティングと同じようにいつもとは違う視点で教室を見渡してみる生徒たち。どんなことでも二度目は考え方を変える、作者の考えだけではなく自分がどう思うのか、新しい視点で物事を捉える事の重要性を伝え、彼らに詩を書くよう課題を出す。

・ニール、チャーリー、キャメロン、ノックス、ミークス、トッドと順に机に乗り普段と違う視点で見慣れた教室を見渡してみる彼ら。"新しい視点"とはどういう事か、高校生にも分かりやすいよう視覚を使って教えるキーティングと初めて出会う感覚にキラキラと目を輝かせる彼ら。

★勢いよく机に乗る者もいれば、慎重に乗る者もいて、ミークスは慎重に両手で机を押さえながら乗り、降りるときも片足ずつ降り、最後は机を真っすぐに戻してからトッドに順番を譲っていました。ミークス、好奇心旺盛で新しい事には進んで挑戦するけど、石橋を叩いて渡るタイプなんだろうな。

 

Scenes08.寮のニールとトッドの部屋

「やりたいことを見つけたんだ!」とヘンリー高校で上映される芝居のオーディションに参加することを決めたニール。その行動力にやはり自分とは正反対の人だと思い「ほっといてよ」と壁を作るトッドだったが、ニールは「イヤだ!」とその壁を壊そうとする。初めて自分自身がやりたいことを見つけられた嬉しさに、父親の意見も聞かず勝手に親の同意書も作成し、自らの意思のみで芝居に挑戦しようとするニールを「お父さんに言っておいたほうがいいんじゃない?」とトッドは心配する。

・自分のことに関しては「ほっといてよ!」と言う割にニールと父親の関係を気にするトッド。後に分かるがトッドは親子関係が上手くいっておらず自身が親から愛されていないことや友だち思いな一面があることから、いちルームメイトの親子関係とはいえ気になって仕方ないのだろうと思う。また、ニールの行動や言動から彼に対してトッドが徐々に心を開いていることが分かる。

★早々に、みんな大好きもとみや(基くん三宅くん)タイム Part2が始まりました、ありがとうございます。今回は下手待機中のもとみやのお二人。基くんが机に入っているノートを取り出し落書きしていると三宅くんが覗きに来るというのが定番の流れでしたが、大千秋楽はとんでもなかった。どういう絡み方なんそれ?!となったので皆さん見てください。

三宅くんは基くんの顔を見ながら絡みに行っていたのですが、基くんはステージを真っすぐに見つめノールック、真顔でやってんのコレ。帰ってノートを見返すと「もとみや~~~(泣)(泣)(泣)」とバカデカい殴り書きがありました。この二人の絡みを見るのもこれで最後かと思うと気持ちが溢れたのでしょうね、分かります。

 

Scenes09.キーティングの教室

課題だった自作の詩を発表するノックス。クリスへの想いを詩に乗せ、恥ずかしそうにでも堂々と発表する姿にクラス中がはやし立てる。一方下を向き自身なさげに座っているトッドを指名すると「(課題を)やってきませんでした」との回答が。そんなトッドにウォルト・ホイットマンの写真を見せ、何が見えるのか問うキーティング。キーティングのアシストもあって自分自身の殻を破り、素晴らしい詩を発表するトッドに生徒全員が彼を認め、称賛する。

・ポツリポツリと話し始めるトッドが、(新くん曰く)覚醒していく様は、こちらまで息を飲むような緊迫したシーンだった。初めて触れたトッドの内面に驚きつつも温かく見守る生徒たちと、トッドが初めて見せるその姿を嬉しそうに見つめるキーティング。

★クリスへの想いが溢れた詩を朗読した後「馬鹿みたいだ、」と照れ臭そうに言うノックスが可愛くて愛しくて思わず抱きしめたくなりましたね、我慢しましたが。(?)

★授業を通して少し自信がついたのか表情が明るくなったことから、間違いなくトッドにとってのターニングポイントはこの授業だったのだろうなと思う。この授業を作品を通して追体験したことで、なんだかわたしも勇気が湧いてくるような、そんな力強さを感じたシーンでした。

 

Scenes10.洞窟

ニールがヘンリー高校で上演される芝居のオーディションに合格したことを知り、大歓喜する生徒たち。高揚感漂う中いつも通りヘンリー・デヴィッド・ソローの詩を読み死せる詩人の会を始めようとすると、チャーリーが本日より名前を『ヌワンダ』に改名すること、詩とサックスの二重奏に挑戦することを宣言し実演してみせる。その姿勢に全員が感心していると、チャーリーから「もう一つ発表がある」と、学生新聞に死せる詩人の会の名で共学を要請する記事を載せたと自信満々の表情で告げられる。それを聞いたニール・トッド・ミークス・キャメロンの4人は真っ青になり、キャメロンは「死せる詩人の会について奴らが問い詰めると思わなかったのか!」とチャーリーを責め立てる。チャーリーの大胆すぎる行動に感化されたのか、「もう耐えられない!クリスを手に入れられないなら自殺する!」「それが問題だったんだ、僕の人生は落ち着きすぎていたんだ!!!」と勢いのまま走っていくノックスをチャーリーが心配そうに追いかける。

・クリスの真髄を味わいたいノックスに死せる詩人になりきったミークスは「バラの蕾を摘むのは今」と助言する。しかし「チェットに恋するクリスにはなんて言う?」との問いには「諦めるんだ、ノックス!」との返答。その言葉を聞き落胆したり怒ったりするノックスと、時に楽しそうに時に囁き声で伝えるお茶目なミークスが見られる一幕だった。

★皆が校内新聞の記事の件で頭を悩ませている中、一人クリスの事で頭がいっぱいになっている様子をはじめ、四六時中クリスの事しか考えられなくなってしまったノックス。恋愛という自由に夢中になっていく姿は、我々もよく知る高校生の姿で一番身近に感じられるキャラクターだったように感じました。

 

Scenes11.チャーリーとノックス

クリスに電話したことを嬉しそうに報告するノックス。チャーリーが彼女と何を話したのか尋ねると、「彼女は言ったんだ、『あとでかけ直すわ』って…!」最初はワクワクした顔で聞いていたチャーリーだが、話を聞くにつれ状況を察し曇っていく表情。まだかかってこない電話に、「かけてくるよ、たぶんね。そう願ってる、たぶんね。」と何とも言えない表情をするノックスとチャーリー。

★真っ先に友人を追いかけていくのがチャーリーで彼の友人思いな一面がうかがえます。ノックス、きっと電話かかってくるよ、たぶんね。(笑)

 

Scenes12.寮のニールとトッドの部屋

両親から誕生日のプレゼントにイェール大学のマグカップをもらったトッド。既に彼の机には昨年の誕生日に両親からプレゼントされた同じマグカップがある。昨年プレゼントしたことを忘れ今年も同じ物が送られてきたことに「両親は僕のことを何も考えてない」と落ち込むが、「君はこのカップの価値を過小評価していると思うよ。これは素敵な贈り物さ。これさえあれば他には何もいらないだろ。」と明るく励ますニールの言葉に段々とトッドの表情が明るくなっていく。

・落ち込む様子を見せるトッドを明るくポジティブな思考に切り替え元気付けようとするニール。対照的な性格をした二人だが次第に笑顔になっていくドッドの姿を見ていると、塞ぎがちなその性格がニールによって明るい方へ引き上げられていくような、そんな希望すら感じた。

★ミークスとキャメロンが舞台後方で下手~上手へ移動していくのがこの場面。ミークスが前を歩き、後ろにキャメロンが続く並びがデフォでミークスが率先してクルッと回ってみせたり、急に走ってみたりと毎回違ったアドリブを見せてくれる。時折、上手に消えた瞬間二人で顔見合わせて笑っている姿が見えるのも微笑ましかった、、、キャメロン役の理矩くんいつも付き合ってくれてありがとねぇ~

 

Scenes13.キーティングの授業

ミークス・キャメロン・ノックスを指名し教室の中を歩かせるキーティング。始めは自分のペースで歩いていた彼らだったが、次第にペースを合わせ、周りも手拍子で応戦する。この様こそが順応性そのものであり、それに従わないことの難しさを解く。「森の中で、道が二つに分かれていた。そして私は、人があまり通っていない方を選んだ。すべての違いは、そこから生まれた」ロバート・フロストの詩を引用し、人に流されず自分の道を見つけることを教えた。

★自由に歩き回る生徒たちに各々の個性が爆発しているのでここは是非オタクのレポを探して読んでほしい。ミークスに焦点を合わせている人間なので彼のことしか書くことはできないが、彼はセンターから上手側に向かいほとんどの回で一人行動をしていた。クルクル回ってみせたり二足歩行のロボットの歩き方を真似てみたり、千秋楽に向けて柱と仲良くなったり、それを見てキーティングが彼の行動を真似るというのが定番だった。しかしチラッと下手側を見ると人と人がぶつかり笑っていたり、皆が負けじと変な、いや個性的な歩き方をしていたりと知らないところで様々な面白いことが起きてそうだったので圧倒的に目が足りない。マルチアングルくれ、ください。

先日チャーリーが発表した学生新聞が発行され、校長の目にも止まってしまった。教室まで怒鳴り込んでくる校長に「神様からの電話です。」とおどけた対応をするチャーリー。「他に関わっている生徒はいるか?『死せる詩人の会』のメンバーは誰なのか?」と聞かれ「僕だけです。」と答えるが、体罰を与えられ夜まで居残りすることになってしまう。また、キーティングの授業が彼らに悪影響を与えているのでは?と思い始める校長は「この学校にはカリキュラムがあり、それに従っていればいい」とキーティングに釘をさす。

★皆を守り自分だけが犠牲になって罰を受けるチャーリー。このシーンからも校長からどんなに脅されても決して他のメンバーについて口にしなかった、彼の仲間思いな性格がうかがえる。ネタバレになってしまうが、信頼している仲間に熱い性格が故に、裏切る様な行為をしたキャメロンが許せず手を出してしまったのだろう。(これについてはScenes20-22で)

★校長先生が怒鳴り込んできた時、キーティングがそばにいるミークスと無言で(なにかあったのか?)(あの…その……)といった表情の演技をしているところが非常に良かった。何か言いたげな決まりが悪そうなミークスとその表情を見て事態を察するキーティング。いつの間にかキーティングと生徒たちとの中で信頼関係が築かれていたのだかと感じられる瞬間でもありました。

★下手捌け中の影山くん体罰シーンがツボなのか絶対に笑い出してしまう事に気付いてからはもう気になって気になって!チャーリーは罰として校長から革ベルトでお尻を叩かれるのですが、叩かれた回数を声に出してカウントしてるんですね。罰として全6回叩かれるうち、必ず5回目で笑い出す影山くん。隣に座る瀬戸くんは険しい顔をしているのに、影山くんは客席にも分かるほど肩を震わせ笑ってる。手に持っている紙で顔を隠そうとしてもバレバレです。それに気付いてからは各日の『笑わないチャレンジ』レポを落としているので、詳細はこちらをご査収ください。

 

Scenes14.別の教室

居残りを終え、みんなが集まる部屋に向かうチャーリー。キーティングも駆けつけ「馬鹿げたことをやったな」と注意するが、「この学校は理想とは程遠い場所ではあるが、それでも何かを見つけることはできる。少なくとも、私の授業を受けることができる」と生徒たちを鼓舞する。詩を書き始めたトッドに、クリスへの詩を完成させたノックス。全員に促され完成した詩を読むと、気持ちを抑えられなくなりそのままクリス元へ走っていく。

★各々好きな事をしており口には出さないものの、チャーリーが戻ってきた瞬間の表情を見ると全員が彼の身を案じていたことがうかがえた。皆に心配をかけないよう、おどけてみせるチャーリー、本当に優しい子なんだろうな。

★ノックスの詩を聞いている時の彼らの温かい眼差しや、二人の行く末を温かく見守っているような優しい空気感が好きだった。抑えきれない思いを胸に走り出すノックスの姿を観てわたしも心の中で「頑張れ!」と声援を送りたくなるシーンでした。

 

Scenes15.寮のニールとトッドの部屋

今週末に迫った芝居の練習をするニールの元に、突然父親がやってくる。知人から「姪っ子が息子さんと同じ芝居にでるんですよ」と言われ、「何かの間違いでしょう、息子は芝居なんてやっていません」と答えたが知らなかった自分が嘘を付いてしまった、「嘘を付かせたのはお前だ、ニール!」と責め立てると、その勢いのまま「今週末の芝居には出るな」と強い口調で忠告する。あまりの剣幕に自分の気持ちを押し殺し「…はい」と返答するも苦しそうな表情のニール。

Scenes16.キーティングの部屋

今週末に控えた芝居のこと、父親のことをキーティングに相談するニール。父親のために従順な息子の役を演じてきた彼に、「芝居の幕が上がる前にお父さんに自分の気持ちを伝えるんだ。自分自身に誠実でいたいなら、他に方法はない。」と伝えるが、ニールはその言葉に涙を浮かべる。

・目前に迫った希望溢れる夢の世界と、いまニールが生きている現実の世界との板挟みで苦しむニール。父親からの忠告には「はい」と言う選択肢しか残されていない。

・理解してくれるはずがない父親に腹を割って話したとしてもきっと良い結果は得られないだろう、でもそれしか道が残されていない、そんな状況で「もっと楽な方法はないんですか」と涙ながらにキーティングに相談する。しかし、「自分自身に誠実でいたいなら、他に方法はない。」と言われ苦しげな表情のまま部屋へ戻っていった。

 

Scenes17.校門

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クリスの元から帰ってきたノックスに、興味津々で近寄るミークス。彼女の教室で詩を読み聞かせたが、彼女は顔を覆っていたため表情が分からなかった、と報告するノックスに黙り込む一同。起こりながらノックスの元にやってきたクリスを見て、「信じられないよ!クリスが実在の人物だったなんて!!」と騒ぎながら先にニールの芝居に向かう4人。

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二人きりになり、クリスに「愛してる。」と告げるノックス。突然の告白に驚くクリスだが、「一度過ごしてみてそれでも僕が嫌いなら今後一切近付かないから。約束する。死せる詩人の会の名にかけて。今夜だけでいい。それで君が僕にもう会いたくないなら、引き下がると誓うよ。」というノックスの熱い思いに心を打たれ「あなたって本当にムカつく!」と言いながらもクリスは笑顔を見せ、一緒に芝居を観に行く二人。

・二人の行く末が気になって仕方がなく我先にと声をかけるミークス。クリスが登場した時も「信じられないよ!クリスが実在していたなんて!!」と誰よりも興奮した状態で捌けていく。

★そういえば、キーティングが女子校で教えていたと知った時もミークスが一番ニヤニヤしていたし、クリスと書かれたポスターもコッソリ ポケットにしまっていた。実は彼が一番“女子”というものに興味があるのかもしれない…

★ノックスによる力強い眼差しの「愛してる」にはグッとくるものがありました。初めて人を愛することを知った、その純真無垢な心がストレートに伝わってきて、高校生の彼に思わず心揺さぶられた・・・何度見ても素敵なシーンだったな。

★このシーン4人が芝居を観に捌けた後、下手側で二人の様子を見守っているのですが、その間の新くん三宅くんのやり取りが非常に面白く、下手待機組用に定点カメラ置いていただきたかった!!!三宅くん、相当新くんがお気に入りなのか肩に顎を乗せたり腕を掴んで操ってみたりと告白シーン中は後ろの席からずっと構ってる。最後はバッグハグをキメて暗転するのがお決まりのパターンで、始めはビックリしているように見えた新くんも段々と慣れて当たり前のような顔をしていたり、新くんがいないときにエアハグする三宅くんが寂しそうな顔をしていたり、、ひょんなことからカンパニーの空気感を感じられたのと、同じ事務所ではない方との交流に貴重なものを見せていただいた感覚もあって、なんだか嬉しかったな~!

 

Scenes18.ヘンリー高校の講堂

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素晴らしい演技を見せたニールに駆け寄る生徒たち。まさかと思いヘンリー高校へ駆けつけた父は舞台に立つニールの姿を見て怒り心頭に発し、ニールを自宅へと連れて帰ってしまった。

★温かい眼差しでニールを見守るキーティング・キャメロン、チャーリー・ミークスとノックス・クリスの3組。観劇途中でノックスがクリスの右手を取り自分の腿の上でギュッと握る場面があるのですが、そこのノックスの表情がまあ良い!!!手を握る前からちょっとソワソワし始め、ゆっくりと手を伸ばし、ガッと掴んでからは何事もなかったかのような顔で真っ直ぐ芝居を見ているノックス。あぁ〜〜〜〜青春!!!!!芝居が終わりバッと慌てて手を離し拍手する様子も非常に良い!!!!!Scenes17-18にかけて「この舞台甘酸っぱい青春ラブストーリーでしたっけ?」と思わず確認したくなりましたね~はあ~~

 

Scenes19.ペリー氏の書斎/洞窟

父親の制止を振り切り芝居に出演したことに怒り、ウェルトンを退学し別の学校へ転校するように告げるニール氏。「演じることが好きで好きで仕方ないんだ。これは出来心なんかじゃない。」と訴えるニールに「ハーバードに行って、医者になるんだ!」「若い頃は、馬鹿げた出来心が判断を狂わせるものだ。」とニールの言葉には一切耳を傾けない。

ニールの芝居を観たその足で洞窟に向かい、死せる詩人の会を始める キーティング・トッド・ノックス・ミークス・チャリー・クリスの6人。当初詩を読むことを嫌がり書記係として所属していたトッドが詩を完成させ全員の前で披露する。

赤字:ニールの最後の言葉(芝居で演じたパックの台詞)

青字:トッドが完成させた詩

緑字:キーティングが読んだヴェイチェル・リンゼイの詩

 

もし影法師に過ぎない、我々をお気に召さないなら。

こう考えれば、うまくおさまるはずでしょう。

あなたはここで眠っている間に、夢を見ていたのだと。

 

僕達は明日を夢見るが、明日はやって来ない。

僕達は栄光を夢見るが、それを心から望んではいない。

僕達は新しい一日を夢見るが、それはすでにここにある。

僕達は戦いから逃げている、逃げてはいけない戦いから。

 

僕達はまだ眠っている。

 

僕達は心の声を聞きながら、その意味を知ろうとしない。

希望溢れる未来は、今はただの空想に過ぎない。

賢さを夢に抱きながら、日々それを避けて生きている。

手に入れた救いの手を、未だ探し求める。

 

僕達はまだ眠っている。

 

この、愚かで哀れな物語は、夢以外のなにものでもない。

皆様、どうか私を咎めないでいてください。

あなたがお許しくだされば、うまくおさまります。

 

大きな太鼓の響きを連れて、将軍ブースが勇猛果敢に皆を導く

子羊の血で清められたのか?

聖者達は重々しく微笑んでこう言った「彼が来た」

子羊の血で清められたのか?

ぞろぞろと歩く病人たちを引き連れ、泥の底から栄光をすくい上げ

子羊の血で清められたのか?

路地裏の娼婦と青ざめた魔物を捕まえる

子羊の血で清められたのか?

心は未だ情熱で満ちているが、魂の力に陰りが見える

子羊の血で清められたのか?

 

この正直者のパックとして、皆様からの野次を受ける代わりに、その埋め合わせを誓いましょう。

さもなくば、このパックを嘘つき呼ばわりしてください。

それでは皆様、おやすみなさい。

 

詩を通して「生きろ、生きるんだ。」と、いまを生きる素晴らしさを実感する6人に対し、演じることの楽しさを教えてくれたパックの台詞を最後に拳銃で自分の頭を打ち『死せる詩人の会』の正会員となることを選んだニール。

・このシーンの時点ですでに姿がないキャメロン。ペリー氏の怒り様を見て何かを悟り一人先に寮へ戻ると例の事件が起き、皆が帰ってくる前に校長先生に呼び出されたのだと推測される。

・ニールが最後の言葉として選んだパックの台詞と、トッドが完成させた詩が交互に読まれる。

★ニールが演じる事の自由を手にした瞬間に立ちあえた事、トッドが自らの殻を破り自分の詩を完成させた事、ノックスが人を愛する事を知った事…高揚感でいっぱいの彼らと、最高の瞬間を手にした直後父親によってその自由を奪われてしまったニール。同じステージ上で天国と地獄程に極端な状況が描かれているこのシーン。芝居で演じたパックの台詞と、いまを生きる彼らを表した詩との対比に胸が苦しかった。

★ニールが机の上に立ちキーティング先生から教わった"新しい視点"で世界を見渡すのは、これから手にする死後の世界を確かめていたように感じられた。現実の(自分の目線から見える)視点で再度世界を見渡した時、理想と現実の違いにまた落胆し正会員になる道を選んでしまったのだろうか。死ぬ直前、せめてもの思いで机に座り普段より少し高い視点を最後の記憶にしたのかと思うと胸が締め付けられる思いだった。

 

Scenes20-22.寮のニールとトッドの部屋

校長からニールが自殺したことを知らされる生徒たち。先に寮に戻っていたキャメロンは校長に呼ばれウェルトン・アカデミーの倫理規定に従い真実を全て話していた。それを聞き、学校側は全てキーティングのせいにしようとしており「学校は既に全部知っている。キーティングは救えなくても、自分は救えるんだよ!」と言うキャメロンに校則違反だとわかりつつ、手を出してしまうチャーリー。ミークス・チャーリー・ノックスと順に校長室に呼ばれていき、戻ってきたミークスに様子を尋ねるも「話せないんだ。ヌワンダは退学になったよ。」とだけ言い去っていってしまう。

・キャメロンが裏切ったと思い手を出してしまうチャーリーの友情に熱い性格が表れていたシーン。チャーリーだけではなく、トッドに真っ先に駆け寄るミークスや、校長室に呼ばれるも最後までトッドを気にかけていたノックス、いつの間にか育まれていた友情や絆が一つ一つの行動に現れていた。

★他の生徒たちと比べミークスとチャーリーはより親密な関係にあると思っていて。それは、転入生のトッドに自己紹介するシーンでは二人がずっと隣同士でくっ付いていたり(捌ける方向も一緒)、破った教科書を投げあう時もニールに先制攻撃をした後毎回ミークスの元へ行きボールを奪おうとしていたり、サックスを披露した時も演奏後はミークスに自分のサックスを渡していたり、校長室に呼ばれたのも二人だけが同時だったり、というところから感じていたのだけれど、校長室から戻ってきたミークスが「ヌワンダは退学になったよ。」のタイミングで涙が溢れているのを見て確信した。縛られた世界の中で自分らしく生きようとするチャーリーへの一方的な憧れによるものかもしれないし、元から二人は親友だったのかもしれない。そんな彼が退学になってしまったことで、ミークスの今後を案じた。

 

Scenes23.校長室

校長とペリー氏が見守る中、死せる詩人の会とはキーティングが発足した自堕落な会であること、ペリー氏の命令を背くことになるとわかりつつニールの芝居を助長したこと、それが結果的にニール死に繋がったこと等キーティングがウェルトン・アカデミーを去り、二度と教えることが出来なくなるような内容が記載された同意書に署名を求められる。用紙を見ると同じように無理矢理サインさせられたであろう生徒たちの名前が並んでおり、トッドが拒んでいると目の前に立ちはだかるペリー氏から怒号が飛んでくる。そのような環境下で断ることもできす、トッドも無理矢理署名させられてしまう。

★このシーン校長役の佐戸井けん太さんと父親役の飯田基祐さんの演技に圧倒された。人が怒り震えている時の表情仕草全てに震え上がったのと、特に飯田さんの「署名するんだ!」で同意書を指差すその指先の神経まで力が込められていてその力強い指の震えにわたしまで怖気づいてしまうような、そんな感覚に陥りました。

 

Scenes24.キーティングの教室

チャーリーが退学となり、二つ空いた席で何事もなかったかのように授業が始まる。校長がJ・エヴァンス・プリチャード博士による序文「詩の理解」と読むようキャメロンに指示するが、該当のページは既に破り取られており読むことができない。校長が貸し出した教科書を元に序文を読み進めるが、私物を取りに来たキーティングの姿を見てトッドが「無理矢理署名させられたんです!」と声を上げる。「今度騒いだら退学だ!」と校長が制する中、去り行くキーティングの背中に向かって机の上に立ち「おお、キャプテン、わがキャプテン」と名を呼ぶトッド。その姿を見てノックスも机の上に立ち「おお、キャプテン、わがキャプテン」と力強く呼びかける。続くミークスも机の上に立ち「おお、キャプテン、わがキャプテン」と名を呼び、「ありがとうみんな、」と言って立ち去っていくキーティングの姿を見送った。

★キャメロンだけは台詞を言わず学校側に立っているが、当時彼らが生活していた“ウェルトン・アカデミー”という世界や親の期待を思うとキャメロンが最後まで立ち上がれなかったのも頷ける。ニールが死んだ日も、きっと、キャメロンなら我々にとって優位的な行動をする(規則を破るような行動はできない=全てを話してくれる)と分かっていて学校側は一番目に呼び出したのかもしれない。

そんなことを思いながら見ていたので、大阪公演で理矩くんが言った「最後のシーン、本当は僕も台詞を言いたい」との要望に、キャスト全員で答えたあのカテコは今でもその景色を鮮明に思い出せるほど素晴らしい回で思わず涙が溢れてしまった。約50年後の世界で、キャメロンの抱えていたモヤモヤした気持ちが少しでも晴れていたら嬉しく思う。

 

 

約2万字のこのブログ、最後までお読みいただいた方はいらっしゃるのでしょうか…?長々とした文章にお付き合いいただき本当にありがとうございました。 

 

最後になりましたが、キーティングと出会い、新しい発想や自由、自分自身の個性に気付き、それがいかに素晴らしい事かを学んだ生徒たち。そのような自由を許さない環境下で残された彼らは今後どのような高校生活を過ごしたのだろうか。3年後、高校を卒業し大学生となった彼らが数々のキーティングの言葉を思い出し何にも縛られない世界で自由に生きていることを願います。 

 

『Carpe Diem!』